公開日 2022-11-23 , 最終更新日 2022-11-23
はじめに
さて、100万円つかって、ドルを買って、すぐにドルを売りました。
いくらの円になって返ってくるでしょう?
為替レートは変わっていないとします
100万円やろ
残念!100万より安くなるんだな。
え~なんかずるい
銀行も商売やからな、費用を抜いてくるんや。そのあたり説明しよう。
- 外貨預金のコストについて理解できるようになる。
- 外貨預金コストとして、TTS、TTB、TTSという用語が理解でき、計算できるようになる。
- 外貨預金にかかる税金についても理解できるようになる。
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外貨預金の為替レート
参考に、三井住友銀行での為替レートを紹介します。
ここでは米ドルについて考えてみます。為替レートにTTB、TTSの2種があるのがわかりますね。
TTS:Telegraphic Transfer Selling rate
TTB:Telegraphic Transfer Buying rate
SはSell、「金融機関が」あなたに売るレート、 BはBuy、「金融機関が」あなたから買うレートです。
一方で、TTM:Telegraphic Transfer Middle rate は、この中間の値を取ります。発表タイミングにより各ニュース、金融機関などで発表されているのはこれです。
TTB = TTM-為替手数料(TTB側)
TTS = TTM+為替手数料(TTS側)
この為替手数料ですが、以下の特徴があります。
- 金融機関によって異なります。
- TTB側とTTS側の為替手数料は必ずしも同じ値ではありません。
計算方法 (円→ドル→円)
前提条件
TTS:141円
TTB:139円
100万円をドルに両替して、同じレートで日本円に戻します。
まずは、100万円をドルに購入するとき、TTS(141円)で割ります。
\1,000,000 / 141 ≒ $7,092
このときの日本円の価値はTTM(140円)で計算するので、
$7092×140 ≒ 992,908円
と、この時点で約0.7%目減りしています。
次に、このドルを円に改めて両替します。ドルにTTB(139円)を掛けます。
$7,092×139 ≒ \985,818
両替しただけで約14,000円、1.4%目減りしてしまいました。
このように、売買時に結構いい手数料が引かれているのですよね。
計算実例
1. 為替手数料を変化させたときの円→ドルの計算結果
元手:100万円
TTM:75円~150円
TTS, TTBの計算のための為替手数料0円~1円で計算しています
TTMの数値が低いほど、得られるドルが多くなります。ちなみに\0.25と小数点表示していますが、銀行などのサイトでは「25銭」と書かれることが多いです
次に、実際にかかった手数料はいくらか、という視点で計算してみます。円換算です。
為替手数料が大きいほど手数料が大きくなっています。また為替手数料ほどでは無いですが、元のTTMが小さいほど手数料が大きくなります。ここは以外と忘れがちな人が多い印象です。
2. 為替手数料を変化させたときの円→ドル→円の計算結果
元手:100万円
TTM:75円~150円
TTS, TTBの計算のための為替手数料0円~1円で計算しています
円→ドル→円としたときの元本と手数料です。
円に戻すとこんな感じになります。次に、手数料で目減りした金額は以下の表になります。
円高で1ドル100円を切ってくると、為替手数料が1円の場合、20000円を超えてきます。割合にすると2%ですね。ちょっと無視できる金額ではなく、外貨に両替したり、次に円に戻すのに躊躇する金額です。
3.元を取るための為替レートの変動量
元手:100万円
TTM:75円~150円
TTS, TTBの計算のための為替手数料0円~1円で計算しています
元の100万円に戻すための必要な、「TTM」です
為替手数料の2倍のTTMが必要になります。
例えば、1ドル100円、為替手数料を1円とすると、
ドルを購入するとき \1,000,000 / (100+1) ≒ $9900
100万円に必要なレート \1,000,000/$9900≒ 101円/ドル
為替手数料が1円なので、その時の為替レートは 101+1=102円/ドル
となります。為替手数料の大きさが、非常に重要なことがわかります。
外貨預金にかかる税金
為替手数料以外に、儲かった時に限り税金がかかります。
利益は「雑所得」となり、儲かった部分について下記の税金がかかります。購入時には税金はかからず、売却時に税金がかかります。
課税される所得金額 | 雑所得 所得税+住民税 | 譲渡所得(株の利益等) 所得税+住民税 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5%+10% | 15%+5% |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10%+10% | 15%+5% |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20%+10% | 15%+5% |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23%+10% | 15%+5% |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33%+10% | 15%+5% |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40%+10% | 15%+5% |
40,000,000円 以上 | 45%+10% | 15%+5% |
税金の計算例
元手:100万円
購入時TTM:100円
売却時TTM:120円
為替手数料:1円
で利益を計算します。
利益は手数料込で計算しますので、利益は178,217円になります。仮に所得税10%、住民税10%とすると(人によります)、納めるべき税金は、\35,643となり、純粋な利益は\142,574となります。20%儲かってそうで、実際には14%くらいなんですよね。
税率によって、税金は以下のようになります。税金33%くらいまでの人は結構いらっしゃると思います。ちょっと高いですよね。
外貨預金のコスト対策2選
外貨預金のコストを減らす方法について解説します
為替手数料が安い会社で両替する
為替手数料が安い会社で両替するのが重要です。
- ネット銀行、ネット証券
- FX (レバレッジ無し)
証券会社などは、為替手数料は25銭、もしくはそれ以下になります。FXは無しで1銭以下になります。FXは結構大きい金額を購入する必要があったりする点はご注意ください。
税金の安い商品を購入する
雑所得だから税金が高い、という話でしたので、雑所得以外の商品を購入します。税金が20%以上の方は、この方がお勧めです。雑所得の税金が20%以上でも、赤字になったとときの損益通算ができるので、やはり外貨預金以外の方がお勧めです
- 外貨建てMMF
- FX (レバレッジ無し)
これらは、税金が20%になります。
外貨建てMMFの特徴 (リンクはSBI証券より引用)
- 少額から購入できる (SBI証券の場合、10ドル、もしくは5,000円)
- 利率が高い (2022年11月23日現在約3%)
- 資金が拘束されず、換金性が高い。ほしい商品ができたときすぐに換金できる
- 利益は譲渡所得になる。
- 投資信託として元本割れリスクはあると記載されているが、日本国内で販売されている外貨建てMMFで元本割れしたものは無いそうです。
FXの特徴
- 通過購入単位が1,000ドル~など大きいところが多く、資金が必要
- 為替手数料が極端に安い
- 利率がスワップポイントという形で受け取れる
- 利益は、実際には20%となる。(扱いは雑所得だが・・・)
最後に
外貨預金についていかがでしたでしょうか。何事もメリット・デメリット両面があります。上手に活用していきましょう。
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